【 mutual-ing ++plus++ 】
「あ、…ちょ…っと、待っ…！」
すると、蒼葉の胸に顔を埋めたノイズが、気だるげに視線を上げた。
昨夜の余韻のまま、一糸まとわぬ姿で絡み合っていた。
起き抜けの体温を求めるように…そんな光景も日常の一部になりつつある。
「──…何？」
その濡れた声にも熱っぽい眼にも強烈な色気があって、
既に上がっていた蒼葉の心拍数は更に跳ね上がった。
けれど、負けずに言葉を絞り出す。
「えぇと…その……、怪我は、もうすっかり大丈夫、なんだろ…？」
「？ あぁ」
少し怪訝な顔をしながらもノイズが頷いた。
「最初は…ほら、お前にあんま無理させらんねぇなーと思ってて…さ」
「…？」
最初。
今思い出せば、すごいことをしたものだと思うが…。
病室で…というのはこの際置いておいて。
あの時は、まだノイズの怪我が完治していなかったから、
でも触れたくて…自然と、蒼葉が受け入れる形になっていた。
「なんかそれから、いつもその…俺が…されてるんだけど…」
言いにくくてボソボソと口篭もる。
怪我が治って再会してから、
何度こうして体を重ねたかわからない。
すっかり回復したノイズは、
それまでの無関心ぶりが嘘だったかのように
蒼葉に触れたくて堪らないようだ。
それは正直…嬉しかったし、
蒼葉自身も求めていることだと、わかっている。
受け入れることは構わないのだが…。
と、察したらしいノイズが口端を上げた。
「もしかして、アンタがやってみたい？」
「…俺も、男だし…」
── お前、可愛いし…。
とは、口には出さずに心の中だけに留めておく。
「ふぅん…。ちょっと触っただけで、こんなになってるのに？」
「ぁ…、それは…」
ニヤリと笑ったノイズが蒼葉の下肢をすっと撫でる。
それだけでビクリと反応してしまうが、ここで引き下がる訳にはいかない。
「俺の方が年上だし…」
「それは関係なくね？ むしろ俺の方が体力あるし」
「いや、まぁ…そうだけ、ど……とにかく！」
言って、蒼葉は腹の上で見下ろしていたノイズの首をぐっと抱き寄せる。
そのまま軽く唇を食み、耳元で囁く。
「今日は…俺が、したい」
無意識に熱っぽくなった言葉に、ノイズの動きが止まる。
そして、それから溜息が聞こえた。
「……ずるいだろ、アンタ」
「え…？」
「自覚ねぇし…」
もう一度、今度は呆れたような溜息。
そう言われても蒼葉には何のことだか分からなかったが、
それは了承ということだろうか？
改めて蒼葉が唇を合わせようとすると、
「っ…ん、…ノイズ…！」
思い切りノイズが伸し掛かってきて身動きが取れなくなる。
「じゃあさ、勝負…しようぜ？」
「ん、…なに？」
「これ…」
「っあ…！」
密着していた肌を掻き分けるようにして、
熱い手のひらが無造作に曝け出されていた敏感な場所を撫で上げた。
「持ちこたえた方が入れんの。…どう？」
「…っ！」
それって…。
「自信ねぇなら別にいーけど」
──そこまで言われたら、妙なプライドが頭をもたげる。
「なくねぇよ。ホラ、場所替われ」
俄然気合を入れ、蒼葉は伸し掛かっていたノイズを退かして
跨るようにして腹の上に乗り上げた。
「お手並み拝見」
「言ってろ」
生意気な唇を啄ばんで、肌に手を伸ばす。
すると、すぐにノイズの手も蒼葉の肌を撫で始めた。
今までの戦績では少々分が悪いのは承知の上だ。
だが、勝負を受けてしまった以上は負けたくない。
それに…──
いつもされるように…と思い出して蒼葉は勝手にゾクリと震える。
けれど、されているだけではなくて、それをノイズにもしてみたい。
いつも訳が解らなくなるくらい気持ちが良いから…
その感覚も、教えたい。共有したい。
蒼葉は胸を倒してノイズの首筋へ顔を埋め、口付けながら輪郭を辿る。
耳朶を甘く咬むと、ピアスの跡がくぼんでいて…
その場所から皮膚の内側まで舐め取るように、丁寧に舌を這わせた。
「っ…、…ん」
少しくすぐったそうにノイズが身を捩る。
でも、嫌そうではない。
むしろ痺れる感覚を味わいながら蒼葉の舌を待っているようで、
やはり可愛いと思ってしまう。
そんなノイズの顔を窺いながら、一つ一つ念入りに跡を舐め上げる。
耳朶に、瞼、唇、鼻筋、首筋、それからゆっくりと腹へも。
以前のように金属がカチカチと歯に当たる感触はないが、
孔の周りの少し硬くなった皮膚が不思議で、夢中になって唇で柔らかく咬んだ。
そうしている間に自然と腰が揺れ、跨ったままノイズへ押し付けるように動く。
「ん…ぅ」
自然と吐息が洩れ、物凄く浅ましい姿なのだろうと頭のどこかでは思うが、止められない。
「……っ、…ね、やっぱ俺も触りたいからさ」
「…？」
声が聞こえて蒼葉が顔を上げると、唾液が糸を引いて濡れ光る。
そんな様子を、熱っぽく潤んだ瞳でノイズが見ていた。
そっと髪を撫でられて、微かな刺激と温かさに鼓動が跳ねる。
それから、
「──こう…、して？」
ゆっくりと甘く囁きながらノイズが自身の体を横へ向け、蒼葉も誘導する。
「…！ …や、ちょ…っと、…恥ずかし…」
「なんで？」
「なん、で…って…」
蒼葉も横向きで、向かい合うようにノイズの隣へ寝かされた。
しかし、ノイズとは頭と足が逆向きで。
つまり…蒼葉の目の前にはノイズの下肢があり、ノイズの前には蒼葉の…。
こんな体勢…
と思っても、ノイズはさも当然といった顔をしている。
それどころか、早速その場所へ手と、それから舌を伸ばす。
「あ…っ」
それまでの行為ですっかり興奮していた部分は、不意の刺激にドクンと脈打つ。
その反応に気を良くしたのか、ノイズの手はすぐに周辺をまさぐり始めた。
「ん…ぁ、っ…待っ…」
「そんな感じてていいの？」
「ぅ…るさ…」
流されそうになるが、「勝負」はまだついていないのだ。
蒼葉は浅い息でなんとか「深呼吸」をして、おもむろにノイズへと手を伸ばす。
その場所も、すっかり大きくなっていた。
引き寄せられるようにして先端を舐め、そこでもピアスの跡を探す。
窪んだ箇所に舌先を潜り込ませるようにすると、下方から弾んだ息が聞こえた。
そこを重点的に…と思った瞬間、
「っは、あぁ…」
スルリ…と指が一本、蒼葉の中へ入ってきた。
濡らしてあったのかもしれないが、すっかり慣れてしまった蒼葉の秘部は
それをスムーズに内側へと誘い込む。
それなら──と、蒼葉も自分の指先にたっぷりと唾液を絡ませ、
割り開いたノイズの狭間へゆっくりと慎重に触れる。
自分でも経験があるだけに、
どうすれば痛くないか、どうすれば気持ち良いのか…なんとなく分かる。
抵抗するかとも思ったが、意外とノイズは大人しく身を任せている。
信頼がなければとてもできないことだろうと思うと、少し嬉しい。
前の部分を咥えて転がしながら窄まりを何度も撫でて濡らし、
タイミングを見計らって爪の先を滑り込ませる。
蒼葉の中に埋まっている指は既に遠慮なく抜き挿しを繰り返しているが、
こちらはいきなりそうもいかない。
指一本でもキツイ内部を広げるために、円を描くように動かして奥を目指す。
「ん…、ぁ…なんか…すげぇ…」
「っあ、…咥えながら…しゃべるな、よ…」
溜息のようなノイズの吐息が、敏感な部分へダイレクトに伝わってくる。
痺れて力が抜けそうになるけれど、気持ち良さそうなノイズの声に煽られ、
気力で堪えて指先を動かす。
「中も、ちゃんと…感覚がある」
「…だから、…っ、そこ…で、しゃべるな、って…」
感嘆の台詞には胸が熱くなる。
それがノイズにとってどれだけ大切なことか、蒼葉にも解っているから。
だからこそ、一方的にではなくて…──
少しずつ、ノイズの中が柔らかくなってくる。
指を増やして抜き差しが出来るようになった頃には、
蒼葉の中を弄っていた指も同じくらいゆっくりとした動きになっていた。
決して追い上げるような雰囲気ではなく、内側の感触を確かめるように丁寧に。
そうすると、自分が動かしている手と同じ速さで穿たれるので、
ひとりで自身を弄っているような…倒錯的な感覚に襲われる。
きっと、ノイズもそう感じているはずだ。
「…ぁ、…」
「……っ」
それに合わせて前の部分を弄るのもやめない。
すっかり息は上がっていて、昇りつめてしまいたい気持ちもあるが、
まだお互いに感じていたい気持ちもある。
右手は後ろへ回っているので、左手と口だけではやりにくくて、
先端を舌先で舐めたり軽く擦りあげることくらいしか出来ないから尚更だ。
同じような刺激を蒼葉自身にも感じて、ノイズもそうなのかと思うと微笑ましくなる。
ゆるゆるとした快楽は、ずっと浸かっていたいほど心地が良い。
そうして、すっかり解けてきたノイズの中へ指を滑らせていると、
「…ッ、ぁ…今…っ」
「え…？」
唐突にノイズが声がしたので、反射的に蒼葉が顔を上げる。
しかしリズミカルに中を掻き回していた指は止まることなく、同じ場所を引っ掻いた。
「──…ッ、く…」
途端、頬に熱い飛沫を感じて驚く。
顔を上げた瞬間だったので、避けることも受け止めることもできなかった。
額に、鼻に、唇に、残滓が飛び散る。
「あ…」
思わずノイズから指を抜き、滴ったものを絡め取った。
突然だったが、これは蒼葉が達かせた、ということで良いのだろうか？
そう思うと何だか感慨深くなって、白く汚れた指をまじまじと見つめてしまった。
「はぁ…、は…っ、アンタ…、すげーエロい顔…」
荒い息を吐いたノイズが体を起こし、そんな蒼葉を愉しそうに見下ろしている。
いつの間にか、蒼葉の中を弄っていた指もいなくなっていた。
呟きながら、ノイズが近くにあったティッシュを取って蒼葉の顔を拭く。
「なんだよ、もう…」
それが妙に丁寧に扱われているようで恥ずかしくなって、蒼葉は小さく唇を尖らせた。
「…じゃ、約束だし」
「ん…なに？」
約束…とは、なんだったろうか。
蒼葉はまだ達してはいなかったが、
また一つ、ノイズの意外な反応を見られたので満足感は十分だ。
「忘れるとか…アンタの頭どうなってんの？」
「うるさいな、えーと…？」
あからさまに溜息をつかれ、言い返してみたものの言葉に詰まる。
と、考える間もなくノイズが答えた。
「やってやるよ」
「え…」
言うなり、体が反転した。
ノイズが蒼葉を仰向けにして組み敷いたのだ。
しかし、次に来たのはいつもの割り開かれる衝撃ではなく…。
まだしっかりと芯を持っていた蒼葉のものを片手で軽く支え、
その上にノイズがゆっくりと腰を下ろしていく。
そういえば元はそんな話で…。
蒼葉が思っていたような流れではない気もするが。
「あ…っ」
先ほどまで弄っていた場所に、少しずつ自身が沈む感触。
それは指で触れたときよりも更に狭くて熱い気がした。
少しずつ埋めるだけで、痛いくらいに締め付けられる。
でも、それよりも心配なのは受け止めようとしているノイズの方だ。
「ぅ、あ…っ、痛く…ないか…？」
蒼葉も衝撃に眉を顰めながら、ノイズを見上げる。
「だい、じょうぶ…、…っ」
荒い息に掠れた声が腰にまで響く。
「お、前の方が…、エロい顔…」
「……、っ…、アンタに言われたく、ない…」
そっと手を伸ばしてノイズの頬に触れると、顔を傾けて掌を舐められた。
そのままノイズが蒼葉の手を掴み、指を口に含んで吸いねぶる。
眼を瞑って、何度も何度も。
もう感覚はあるはずなのに、やはり舌で確認しようとするのは癖なのだろうかと思う。
わざとやっているのか判らないが、その光景は物凄く扇情的だった。
視覚と指先からの感触で腹の奥の方がひときわ痺れる。
そうして、少しずつ進め、根元までが完全にノイズの中へと埋まった。
「きっつ…、…っ、ノイズ…」
思わず抱き締めたくなって腕を伸ばすと、ノイズも上体を倒して蒼葉と胸を重ねた。
「すげ…、俺の中に…蒼葉を、感じる…」
「…っ、そういうこと…！」
そんな時にだけ名前を呼ぶのは卑怯だ。
けれど、ふと見るとノイズはとても嬉しそうで…反論できない。
「もう少し…このまま」
「ん…」
ノイズが蒼葉の首筋に顔をうずめて、背に腕を回す。
蒼葉もギュッと抱き返して、その髪を撫でた。
体は昂っていて、密着した肌を伝ってお互いの速い鼓動も聞こえる。
それなのに、こんなにも穏やかな気分になれるのが不思議だ。
体温も分け合って、熱いくらいになる。
それから、どちらからともなく体を揺らした。
「あ…俺が…」
「いいから」
蒼葉が位置の交代を申し出るが、あっさりと却下され
ノイズが蒼葉に跨ったまま再び体を起こした。
足を使って腰を浮かせては落とすのを繰り返し、
蒼葉を食らい尽くすように動く。
「ふ…、ぁ…っ」
それは今までに感じたことがないくらい力強く、
粘膜が溶けてしまっているのではないかというくらい、
強烈な熱さと一体感があった。
「っ、ん…、アンタは…いつも、こんなふうに…感じてるんだ…？」
息を弾ませながらも、ノイズが蒼葉を見下ろして訊いて来る。
いつも…──蒼葉はそんなことを考えられる余裕はなかったと思う。
同じことをしているはずなのに…少々悔しい。
「お前、こそ…」
「アンタの中、いつも熱いし溶けそうだし…一緒じゃね？」
「……っ」
余計恥ずかしくなっただけだったので、言わなければ良かった。
その間も抜き差しは続いていて、
まだ達していなかった蒼葉はあっと言う間に限界まで追い上げられる。
「あ、…は、…もう…っ」
そのまま奥へ放ってしまうことに躊躇し、蒼葉は体を離そうと腕を伸ばした。
けれど、即座に強い力で押さえられ、ノイズが耳元に唇を寄せて囁く。
「このまま…俺の中、満たしてよ…」
「…っ！ ふ、ぅ…、あぁっ」
ドクリと心臓が跳ね上がった瞬間、その場所も脈打ち、勢いよく熱いものが溢れる。
それを中で感じたのか、ノイズが動きを止め…それから。
最後の一滴まで搾り取るような動きで、ゆっくりゆっくり腰を上下させた。
「…は、あ…、っ…」
荒い息を吐いていると、ノイズが蒼葉を挟んだ形で膝立ちになった。
ズルリと抜け出る感触にも甘い痺れが走る。
ぼうっとした頭でノイズを見ると、内腿を白いものが伝っていた。
それは明らかに、たった今自分が放ったもので…。
そう思うとやけに卑猥に見えて、蒼葉は慌てて身を起こそうとする。
「それ…」
何か拭くもの、と手を伸ばしかけると、またしてもノイズに封じられた。
「いいから…、それより」
「え…？」
すっかり力の抜けた下肢が、グイっと開かれる。
その続きは見なくても判る。
「…あ、あぁ…っ」
いつの間にか力を取り戻していたノイズが一気に押し入ってくる。
まだ達したばかりの余韻が残っていた腰には負担が大きい。
だが、先ほども弄られていた箇所は難なくノイズを呑み込む。
「お前、また…っ」
「アンタだけなんて言ってねーし」
待ちかねたように突き上げながら、ノイズがしれっと言い切る。
それは確かにそうだが、こんなに続けて…。
「今、じゃ…なくても…！」
「アンタいんのに、我慢できねぇから」
「なっ…、あっ…ぁ」
また恥ずかしげもなく言ってのけ、性急に中を掻きまわす。
「蒼葉を中で感じたいし、蒼葉の中で感じたい…」
「……っ」
ガンガンと打ち付けられるリズムも相俟って、
恥ずかしさのあまり頭がおかしくなりそうだ。
それでも放ったばかりだというのに再び熱を持ち始めた部分は、
もうとっくにおかしくなっているのかもしれない。
「アンタは？ できんの？ 我慢」
真剣な口調で訊かれて、考えてみるが…答えは一つしかなかった。
「……できねぇよ」
認めてしまえば簡単だ。
蒼葉だって、それを望んでいる。
諦めて呟くと、ノイズが安心したように小さく笑った。
…こういう所に弱いのだ…と、きっと本人は分かっていない。
「なら遠慮しねー…。つか、さっきの…」
「ん…？」
「この辺…？」
ふと思い出したように動きを止め、しかし抜け出ては行かず、
一度引いた腰を慎重に角度を変えて突き入れる。
すると、その場所からグっと重い衝撃が脳髄まで一気に駆け上がった。
「あ、っ、…っく…！ なに…っ」
「ふーん…。ココ」
一転してニヤリと笑ったノイズが、
同じ角度でその場所だけを思い切り突付いた。
「っあぁ、…ッ、だ…め…だって…！」
「聞いたことあったけど、今までどういう感じだか知らなかったし。
さっきアンタが俺に指でやったの…ココ、だろ？」
「ふ…、あぁっ、…は、ぁ…、ノイ、ズ…！」
今までも、中を突かれるとその場所を掠めることはあった。
そうすると確かに痛みも違和感も忘れるほど気持ち良かった覚えはある。
けれど、そこばかりを立て続けに攻め立てられるのは、
快感というよりも強制的に追い上げられているようで…強烈過ぎる。
「これ…気持ちいい？」
「わかんな…っ、それ…、っめ…」
一気に鼓動が爆発しそうなほど跳ね、頭の奥がぼうっとし始める。
ギュッと眼を瞑ると、眦から勝手に涙が溢れた。
突き上げながら器用に体を倒したノイズがそれを舐め取る。
「蒼葉…」
「…っ、あ…」
限界が近くて何も考えられない頭にも、その声だけはしっかりと届く。
他の誰でもなくて、蒼葉を求めているのだと思うから。
「はぁ、…ぅ、っ…、あ、もう…」
あまりの刺激の強さに瞼の裏がチカチカする。
これ以上は無理だと、薄く眼を開けて視線だけで訴える。
早くも二度目の瞬間を待っている部分がノイズの腹に擦られて痛いくらいだ。
無意識に腰にも力が入り、中を抉っている存在をよりリアルに感じる。
「一緒に…」
「ふ…、っあ…」
荒い息で突き上げを繰り返すノイズが、片手を蒼葉の中心へ伸ばす。
そのまま軽く動かされただけで、簡単に上り詰めてしまう。
「あっ、あ…、はぁ…、っ…く…」
「…、ぁ…、はっ」
堪えられずに脚をバタバタさせて、蒼葉がノイズの手の中で果てる。
その瞬間、締め付けてしまった内側にも熱さを感じた。
少ししてから、埋まったものの動きが止まる。
すぐにノイズが伸し掛かるようにして倒れ込み、蒼葉を抱え込んだ。
そうしてしばらく、二人で絡み合ったまま、荒い息を整えた。
「ん…。ノイズ、重いし」
「もうちょっと」
「…ったく」
本当は、胸元に埋まったこの重さも愛おしい。
安心して身を任せている金の髪を、蒼葉は丁寧に撫でた。
「つか、もっと早くやっとけば良かったな」
そんな穏やかな雰囲気とは無縁そうな口調でノイズが言う。
「……」
何を──とは聞かなくてもなんとなく判るが…。
「アンタも、良かった？」
「……………まぁ…、そうだ、な」
ストレートに聞かれると答えづらくて、蒼葉は横を向いてボソボソと呟いた。
「俺の中は？ 良くなかった？」
「そうじゃないけど…、つか、そういうの…聞くなよ」
結局、ずっとノイズに振り回されていただけだった気もして、
蒼葉は心のなかでこっそりとリベンジを考える。
もちろん、勝ち負けではないし、
お互いを感じられるのなら構わないけれども。
「どっちにしても照れんだ、アンタ」
「お前がそういうこと言うからだろ」
「蒼葉の口から聞きてーんだけど」
「…！ ──…そのうちな」
素直なのも、ここまで来ると悪気がない分タチが悪い。
でも、そういうところがやっぱり…可愛く思えるのだろう。
「これからいつも、どっちもする？」
「…体が持たねぇよ、俺…」
「俺は全然へーきだけど？」
「ナマイキ」
顔を上げたノイズの鼻を軽くつまんで笑う。
次の瞬間には、自然とお互いに唇を合わせていた──
Ｅ Ｎ Ｄ ...