【 take a cake 】
「蒼葉さん」
「蒼葉」
呼ばれている?
覚醒し切らない頭で、蒼葉はぼんやりと眼を開ける。
二人が戻ってきたらしい。
他に、この部屋を訪れるのは誰もいないから。
「お誕生日、おめでとうございます」
「誕生日、おめでとう」
ウイルスとトリップが口々に言い、蒼葉を見下ろす。
二人の手には抱えきれないほどの荷物があった。
それを、蒼葉が横になっていたベッドへ置く。
誕生日。
そんなものもあった、か…。
考えることも放棄して、蒼葉は楽しそうな二人を眺めた。
「結局、一緒にケーキ屋さんに行けませんでしたからね。
テイクアウトにしてもらってきました」
「一番大きいやつ、ね」
トリップがベッドサイドにテーブルを移動させ、
巨大なホールケーキを取り出した。
その間に、ウイルスは次々と荷物の封を開ける。
中から出てきたのは色とりどりの縫いぐるみのようだ。
可愛らしいクマやネコが無機質なモノトーンのベッドの上に広がる。
「可愛いでしょう? 蒼葉さんに似合うかと思って」
「……」
どこまでが本気でどこまでが冗談なのか全く判らないし、判りたくもない。
ただ何となく、蒼葉はその光景を眼で追った。
すると、体を起こされて、ベッドの端に座らされる。
その両脇を、ウイルスとトリップがしっかりと固めて座った。
「はい、蒼葉、あーん」
トリップがフォークに載せたケーキを一口差し出す。
ベッドの上で、何も着ていない状態で…というのにはもう慣れた。
抵抗するのも面倒なので、蒼葉は素直に口をあけてケーキを食べる。
甘い味が広がり、なんとなく懐かしい感じがした。
「蒼葉さん、こっちも」
ウイルスにも差し出され、もう一口食べる。
「美味しいですか?」
「……ん」
正直、よくわからない。
けれど、上の空でも返事をすれば良いようだと学習した。
ここにいる限り、蒼葉の一切はこの二人に握られているのだから。
「じゃ、俺たちにも食べさせて下さい」
そう言って、ウイルスが蒼葉の口端についていたクリームを舐め取った。
「こうやって」
と、トリップが蒼葉の手を掴み、指をケーキのクリームに埋める。
それを自らの口元へ持って行って、指ごと咥えた。
「…あ」
指先といえど、熱い粘膜に覆われる感触に背筋がゾクゾクする。
その反応を見たウイルスも、反対側で同じことを始めた。
左右両方の指を同時に吸われて震えるうちに、体が火照ってくる。
「おや、これだけで気持ちよくなっちゃってるんですか?」
ウイルスが言うように、蒼葉の中心はあっと言う間に兆しを見せている。
脚を閉じて力を入れるが、一度意識してしまったら制御など利かない。
「蒼葉、かわいい」
トリップが指でクリームを掬い、その場所へ塗りつける。
「…っあ」
指とは違う冷たい感触が、体温ですぐに溶けた。
そのままぬるぬると塗りこめられて、兆していたものがあっと言う間に膨らむ。
「よ、っと」
身を捩って快感に震える蒼葉を、トリップが両脇の下へ手を入れて持ち上げた。
ベッドの上で蒼葉が膝立ちになるように体勢を整えて…。
再びたっぷりをクリームを塗りつけたその中心を、躊躇いもなく口に含んだ。
「──やっ、…ぅあ…」
掌以上の熱さと、吸い上げられる感覚に腰が跳ねる。
「こっちにも、食べさせてあげますね」
その後ろでは、ウイルスが蒼葉の太腿を割り開き…。
「はっ、…あぁっ」
冷たい、と感じた瞬間、クリームの力を借りた指がスルリと簡単に蒼葉の中へ埋まった。
すぐに抜き差しをされるが、滑りが良いからなのか全く痛みは感じなかった。
それどころか、抜け出ていく感覚が堪らず、無意識に締め上げてしまう。
「そんなに美味しいんですか?」
「…っ」
からかうような口調で耳元に息を吹きかけられ、それだけの些細な刺激にもビクリとなる。
そして、
「もっと…食べて下さいね」
「あ、っ…あぁ…!」
手早く寛げたウイルスがそこへ自身をあてがい、一気に奥まで貫いた。
同時に前を思い切り吸い上げられ、息が止まりそうになる。
「すごい…蒼葉さんの中、ぬるぬるしてますよ」
「こっちもぬるぬる」
「はっ…、ぅ、」
舐め取る度にクリームを塗り足されて。
抵抗もない内壁をガンガンと突かれて。
休む間もなく追い上げられる快感はむしろ苦痛といえる。
ウイルスに後ろから支えられているが、膝立ちの体勢を保つのも難しく、
下腹部に顔を埋めているトリップの頭を抱き込んで何とかとどまる。
しかし、それも長くは続かない。
すぐに膝がガクガクと震え始める。
「も…、あっ…、っ」
その様子に気付いたトリップが、口に含んだまま手を添えて促す。
「──あ、あぁっ、は…」
呆気なく達して、蒼葉はガクリと全身から力を抜いた。
その目の前で、トリップが喉を鳴らした。
「蒼葉の、飲んじゃった。ごちそうさま」
「じゃあ俺のは蒼葉さんに飲んでもらおうかな」
「は、ぁ…、は…っ」
荒い息を吐いてぼんやししていると、
まだ硬度のあるものが後ろから抜け出ていく感触があった。
すぐさま体を反転させられ、四つん這いの形に収まる。
そうすると、今まで中を掻き回していたウイルスのものが眼前に突きつけられた。
「甘いほうがいいですか?」
そんなことを言って、自らクリームを乗せたものを蒼葉の唇に押し付ける。
「ん、ぅ…、はぁ…ぅ」
息をしようと口を開けば、その隙を逃さずウイルスが入ってくる。
それから、膝をついて高く掲げられた双丘の間に、今度はトリップのものが埋まった。
「っ、はっ、あぁ…! か、はっ…」
先ほどまで受け入れていた場所は痛みこそないが、
衝撃で前へ押し出され、ウイルスの先端が信じられないくらい喉の奥の粘膜を突く。
「ホント、蒼葉の中ぬるぬる」
トリップが抽挿を始め、喉へのその衝撃も何度も続く。
「上手ですよ、蒼葉さん」
決して蒼葉が望んで動いている訳ではないが、ウイルスはご満悦のようだ。
二人の声を遠くで聞きながら、蒼葉はただされるがままに揺さ振られる。
「は、…あ、…ぁ…」
腕からも脚からも力が抜け、息も絶え絶えになる頃。
ようやく息をつめる気配がして、
体の奥にも、喉の奥にも──熱い飛沫が叩き付けられた。
「本当に、感謝してるんですよ、蒼葉さん」
「生まれてきてくれて、ありがとう蒼葉」
『 ── 俺たちのもとへ来るために 』
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